「春園(しゅんえん)」はものの芽が動き始める早春から、花々が咲き盛り、木々の緑が濃くなる晩春までの公園や庭園のこと。「春の園」「春の庭」「春苑」などともいう。春が深まるにつれて「春園」の趣も変わっていく。
春になって近くの公園を訪れると、芝が薄々と緑色に萌え、シャボン玉を吹く子供たちが来ている。春落葉が散らばるジョギングコースを歩くのに余念のない大人たちもいる。老木・若木とも、花を咲かせ、芽を広げ、古い葉を落としている。身近な場所だが、目を洗って新鮮な心で眺めれば、詩の端緒になる素材はいくらでも転がっている。
「春園」は戦後定着した比較的新しい季語。だが、手元の歳時記に載っている例句で共感できるのは、 春園のホースむくむく水通る 三鬼 くらいだろうか。この句は園内を散水している場面を句にしたもの。「むくむく」との擬態語により、水の通るホースの生き物のような動きが見えてくる。生活の身近にある「春園」のさまざまな場面を捉えた句がもっと作られてもいいのではないだろうか。