指切りの指振つて寒明けにけり 直人
「寒明(かんあけ)」は、1月上旬の寒の入りから節分まで約30日間続いた寒の時期が過ぎること。寒さが一段落し、少しずつ春の気配が感じられるようになる。
掲句は、指切りの小指を絡め合って振り、ようやく長く続いた寒が明けたとの句意。指切りは、互いの小指を絡め合って約束の厳守を誓うお馴染みの日本の風習。子供から大人まで、約束を守るためのおまじないとして定着している。何の説明も要しない平明な句だが、凍てつく冬から解放された安堵感と、これから本格的な春に向かう明るさが確かに感じ取れる。俳句の素材は、ごく身近なところに転がっていることを、改めて認識させられる作品。『遍照』所収。