蛍は甲虫目ホタル科の昆虫。夏の宵、水辺の闇を明滅しながら飛ぶ。夜の蛍の光の明滅を愉しむ蛍狩りは夏の風物詩。
掲句は、蛍狩りから家に帰ってきたところを想定したい。蛍の飛ぶ闇から家の明かりの中に戻ったとき、自らの「くるぶし」をほのかに青いと感じたという。蛍の匂いや蛍火の明滅の残像が、「くるぶし」に青く残っているのかも知れない。蛍が出る頃の潤いのある夜の情感を自らの身体の一点の感覚に集約したところが鋭い。『俳壇』2024年6月号。
蛍は甲虫目ホタル科の昆虫。夏の宵、水辺の闇を明滅しながら飛ぶ。夜の蛍の光の明滅を愉しむ蛍狩りは夏の風物詩。
掲句は、蛍狩りから家に帰ってきたところを想定したい。蛍の飛ぶ闇から家の明かりの中に戻ったとき、自らの「くるぶし」をほのかに青いと感じたという。蛍の匂いや蛍火の明滅の残像が、「くるぶし」に青く残っているのかも知れない。蛍が出る頃の潤いのある夜の情感を自らの身体の一点の感覚に集約したところが鋭い。『俳壇』2024年6月号。
「遅日」は春の日の暮れが遅いことをいう。実際には夏至が一番日暮れが遅いのだが、冬の日暮れが早かったので、春の暮れの遅さがひとしお印象深く感じられる。
春の夕暮れ時、「遅日」の感じを起こさせるものは、目に映るもの耳に聞こえるものなどさまざまあるが、掲句は「波音」の中に「遅日」を感じ取った。感じ取ったことを表現しただけの単明な句柄の作品だが、ゆったりとした「波音」の繰り返しの中に「遅日」を把握した感性は鋭い。『俳句』2024年5月号。
「春の海」は冬の季節風がおさまった穏やかな海。砂浜で桜
貝を拾ったり、潮干狩りを楽しむ海でもある。
掲句は、明るい風光に映え穏やかに凪ぎわたった「春の海」を詠んだ作品。少し高みから見渡していると、沖合の島が「てのひらほど」の大きさに見えたという。この比喩には、島との距離感や海に対する親しみが表れている。『俳句』2024年5月号。
流氷は、晩冬から仲春にかけて北海道のオホーツク海沿岸に北方から押し寄せ、接岸する流氷群のことで、春の季語。
掲句は北海道旅吟。斜里岳は知床半島のつけ根に裾野を広げる山で、日本百名山 のひとつ。春先、斜里岳の頂の残雪と、オホーツク海を埋め尽くす流氷が照らし合っているという。北国の春の到来をダイナミックに描き出した一句。『俳句』2024年5月号。
修二会(しゅにえ)は三月一日から十四日間、練行衆が奈良・東大寺の二月堂に籠って行われる法要。本格的な春の到来を前に行われる厳しい修行だ。
掲句は松明を振って群集に火の粉を浴びせるなどの一連の行が終わり、元の闇に戻った二月堂を描く。練行衆も群衆も去り、闇に包まれた二月堂の辺りは、激しい修行の後の静寂が支配しているだろう。松明の明るさと闇の対比、動と静の対比が鮮やかだ。『俳句』2024年5月号。