タカ目タカ科である鷹(たか)の中には、鵟(のすり)、蒼鷹(おおたか)、沢鵟(ちゅうひ)などがいる。鷹狩が冬季に行われたことから、鷹の仲間も冬の季語になっている。なお、鳶(とび)はタカ科だが無季。
掲句は、写実に徹して、頭上を滑空する鵟を描き出した。「羽裏ましろき」との欲のない単明な措辞が的確だ。抜けるような青空を滑るように翔けてゆく鵟の羽裏の白さが目に鮮やか。空を見上げる作者の一瞬の驚きもヴィヴィッドに伝わってくる。『俳壇』2025年3月号。
タカ目タカ科である鷹(たか)の中には、鵟(のすり)、蒼鷹(おおたか)、沢鵟(ちゅうひ)などがいる。鷹狩が冬季に行われたことから、鷹の仲間も冬の季語になっている。なお、鳶(とび)はタカ科だが無季。
掲句は、写実に徹して、頭上を滑空する鵟を描き出した。「羽裏ましろき」との欲のない単明な措辞が的確だ。抜けるような青空を滑るように翔けてゆく鵟の羽裏の白さが目に鮮やか。空を見上げる作者の一瞬の驚きもヴィヴィッドに伝わってくる。『俳壇』2025年3月号。
「凍(こお)る」と「凍(い)つ」は基本的には同じ意味だが、「凍つ」は水分の凍ること以外に用いる場合が多く、月や星など天空のものをはじめ、山や土、ときには頬までも凍つる。木々も例外ではない。
掲句は極寒の中で「椴松(とどまつ)」が凍てた様を詠んだ作品。椴松はエゾマツと並ぶ北海道を代表する針葉樹であり、男性的な樹形のエゾマツに対して、トドマツは女性的。青々と凍てた空の下、寒風に聳えたつその樹形を、「風のかたち」のまま凍てたと詠む。身近な樹木を素材にして、北国の風土を手掴みにしたような句。『俳壇』2025年3月号。
「水菜」はアブラナ科アブラナ属の1、2年草。春先に出回る。淡緑色のさっぱりとした味とシャキシャキした歯応えが特徴。
掲句は厨で「水菜」を切りながら、自らを振り返っての作品。厨に立つ前に涙で頬を濡らすような出来事があったのだ。だが、日々のルーティーンとして厨に立ったとき、既に涙は乾いてしまっていた。その時々の感情に溺れてばかりもいられない日常を、早春の季節感の中で淡々と明るく詠んでいる。切っている食材がほうれん草や小松菜だったら、この句のようなからりとした明るさは生まれない。『俳壇』2025年3月号。
歳徳神がいる方向を陰陽道で恵方といい、恵方詣はその年の恵方に当たる社寺に初詣すること。歳徳神の方角はその年の干支により陰陽道で決められる。恵方詣をすると一年分の福が授かるという。
初詣に行く道すがらの情景だろう。鴨だろうか川鵜だろうか、一羽の鳥が水を蹴って飛び立った。「水蹴つて立つ」は、深々と湛えた水の量感やその揺らめきを感じさせる措辞。鳥が飛び立って波立った水の上にも青空にも、新春のめでたく厳かな気配が満ちている。『俳壇』2025年3月号。
「色鳥」は、秋に渡ってくる花鶏(あとり)や尉鶲、真鶸などの小鳥を総称していう。色鮮やかな鳥が多い。
掲句は地方の鄙びた駅の佇まいが感じられる作品。日向の駅のベンチに独り座って、一時間に一本の電車を待っているとき、ふとホームの傍らの木を見上げると、色鳥が来ていて、その鮮やかな羽が見え隠れしている。何も急ぐことはないし、心乱されることもない。日暮れには間のある晩秋の一日。時折紅葉や黄葉が風に舞い、ゆったりと心豊かな時間が経過していく。『俳句界』2025年2月号。