馬と馬霧がへだてて夏薊

「夏薊」は初夏から夏にかけて咲くアザミ、又は夏に野山で咲いているアザミ全般を指す。多くの種類があるアザミの中で、夏に花を咲かせるのはノアザミやオニアザミなど。

掲句は、フランス旅吟の中の一句。ノルマンディ地方のホテルは、オーナーが馬のブリーダーを生業としている人で、朝起きると窓に放牧されている馬の姿があった。この地方は、大西洋から吹いてくる温かく湿った風が、冷たい海面や、夜間に放射冷却で冷えた陸地に流れ込むことでしばしば濃い霧が発生するという。実際この地に宿泊している間、早朝から霧が立ち込めている日が多かった。この句は見たままを詠んだ作品だが、「夏薊」は後日熟考の上で下五に置いたもの。実際に牧柵の辺りで目にしたのはミヤコグサやキンポウゲの類であった。令和8年作。

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