花火ひらきて万霊を照らし出す

「花火」は火薬と金属粉末などを混ぜ合わせたものを燃焼・爆発させ、独特の光、音、煙、色を楽しむためのもの。主に夜間に打ち上げたり、手元で火をつけたりして愉しむ。盂蘭盆の送り火や秋祭りの奉納として始まった経緯から、伝統的に秋(初秋)の季語に分類されてきたが、現代では夏休みの納涼行事のイメージが強く定着したため、夏の季語として扱う歳時記もある。

掲句は、地元の打ち上げ花火を眺めての作品。花火が開いて、見物の人々の顔だけでなく、闇に潜む地上のあれこれを一瞬の間照らし出す。照らし出されるのはこの世に存在するありとあらゆるものである。既に亡くなった人の霊魂もまた花火に照らし出されているとふと感じた。仏教では「三界万霊」という。「万霊(ばんれい)」は、この世に存在する全ての生命や死者の霊魂のこと。折からお盆の時期で、肉親の霊や各地の災害で亡くなった人の魂を含め目に見えない霊魂を身近に感じる時節であった。令和8年作。

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