「穂麦(ほむぎ)」は穂の出た麦、又はその穂そのものをいう。秋に種を蒔いた大麦や小麦は、春を経て5月頃に豊かな穂をつける。夏の新緑の中で、青々とした麦の穂は次第に黄金色(こがねいろ)に色づいていく。
掲句は令和7年夏の南仏旅行中の作品。ゴッホゆかりのサン・ポール・ド・モーゾ-ル修道院を訪れた後、サン・レミ・ド・プロヴァンスの町中を散策した。暑さの最中サン・マルタン教会で一息ついたとき、十字架の前の祭壇用の花立に麦の穂が供えてあることに感興を覚えた。プロヴァンス地方には、無事収穫を終えた麦の最後の束を、感謝のしるしとして教会に奉納する風習があるという。また、聖書にも出てくるように、キリスト教では、麦は最も神聖な植物の一つ。そんなことを思い出させる光景だった。令和7年作。