「涼し」(夏季)は、夏の暑さの中で思いがけず覚える涼しさのこと。流水の辺や木陰で満喫する涼しさもあれば、見るもの聞くものなど五感から感受する涼しさもある。
掲句は、江東区の芭蕉記念館に展示されている『芭蕉翁絵詞伝』などの絵巻に感興を得ての作品。絵巻に小さく描かれた芭蕉・曾良の姿と両人を包む大きな余白に涼しさを覚えた。展示されている絵巻は、芭蕉の生涯や足跡を絵巻物風に仕立てたものだったと記憶している。深川は、芭蕉が『おくのほそ道』の旅へと出発した旅立ちの地でもある。当時も今も、芭蕉記念館は句会の会場になっている。平成19年作。『春霙』所収。