「旱魃(かんばつ)」は長期間雨が降らず、草木や田畑が乾ききること。農作物が枯れたり、水不足になったりする。「旱(ひでり)」の傍題。
掲句は、長野の川上村を流れる千曲川の川べりを散策したときの作品。千曲川をひと目見たいと思い、特段の用もなかったのだが信濃川上駅で下車した。乗降客は私だけで、中年の切符切りが退屈そうにしていた。どこを歩いても廃屋やひと気のない製材所などばかり目についた。頭上から日がじりじりと照りつけて、川堤のところどころにある木蔭が、旅人にとって唯一の憩いの場だった。川の中州に茂る草木が、上流の甲武信岳から吹き下ろしてくる乾いた風を受けて、ざわざわと音を立てていた。平成17年作。『春霙』所収。