「土用」は季節の変わり目(立春・立夏・立秋・立冬の直前約18日間)を指し、春夏秋冬それぞれに「土用」はあるが、普通、土用といえば夏の土用のこと。暑さのピークであり、「土用鰻」「土用干」などの風習があるのもこの時季。
掲句は、せせこましい小料理店で相席になった老人の首の皺を眺めていての作品。小さいテーブルをはさんで、見知らぬ人と相席になるのは、何とも気詰まりで、目のやり場に困るものである。その老人がにこりともせず出された丼物を食べているのを見ていて、ふと、ものを食べなければ生きていけない人間の哀しみを感じた。平成17年作。『春霙』所収。