天上に常の風筋袋掛 直人
「袋掛(ふくろかけ)」は、梨、桃、林檎、葡萄などの果実に、害虫や鳥、病気から守るための紙袋をかぶせる作業。果樹により時期は異なるが、おおむね5月上旬〜6月上旬頃にかけて行われる。
掲句は、葡萄や桃の袋掛け作業をしているとき、ふと頭上の空に「常の風筋」が仰がれたとの句意。夏の甲府盆地上空を吹き抜ける風には、 南西方向の南アルプスから山を越えて吹き下りる風や駿河湾から富士川に沿って南から北(盆地)へ吹く風があり、この句の「風筋」がそのどちらなのかは定かでないが、いずれにしても、その地に定住する作者が知り尽くしている風が、頭上の青空を吹き抜けているのだ。揺るぎのない土着の目が捉えた「風筋」である。昭和54年作。『朝の川』所収。