寒雀母を起こしにきたるらし 山西雅子

「寒雀」は寒中の雀のこと。厳しい寒さの中で、餌を求めて群れで人家近くに現れる。雀は一年中見られるが、冬になると羽の間に空気を入れて体を膨らませ、丸々とした姿になるので、「ふくら雀」とも呼ばれる。

掲句は、人家近くで賑やかに鳴いている寒雀が、老母を起こしに来たらしいと詠む。高齢になって衰弱し、一日中うつらうつらと眠っている母。窓のすぐ外の木に群がる雀らは寒の日差しを受けて賑やかに鳴き、その声は、老母の枕元まで届いている。母を見守りながら、雀の声に母も目を覚ませばいいとふと思う。寒雀も老母も、作者にとって掌中の珠のような存在なのだ。『俳句』2026年4月号。


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