赤子眠りて繭臭き灯に染まる 直人
「繭」は蚕の作る繭のことで、特に春蚕の作った繭を指す。絹の原料になる。養蚕農家は、生繭を日に干したり、糸をとるために繭を煮るたりするなど、多忙を極める。
掲句は、「繭臭き灯」が、養蚕農家の繁忙期を彷彿させる作品。家人の目のとどくところに、赤子を眠らせているのだ。繭を煮る生臭い臭いの中に、蚕室の灯が夜遅くまでともり、そこに寝かされている赤子をも染めている。「繭臭き」との措辞を見出したのは、土着者の感性。昭和50年作。『日の鳥』所収。
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