子に送られて朝越ゆる夏の川 直人
「夏の川」には、青々とした山間を流れる清流、梅雨時の濁流、子供たちの遊び場になる川など様々な表情があり、水量を増した力強さと涼しさを併せ持つ。
掲句は、身近を流れる「夏の川」を毎日のように渡る朝の出勤風景を詠む。背中に子の視線を感じ、時には振り向いて手を振りながら、「夏の川」を越える作者の日常が、過不足のない表現により浮かび上がる。水量を増した「夏の川」のエネルギーに、壮年の作者の生活意欲が重なる。当時、作者は県立高校の教諭として甲府まで通っていた。昭和35年以前の作。『帰路』所収。


