探梅の身のうちにかすかなる飢ゑ 日下野由季

「探梅(たんばい)」は立春前のまだ寒さの厳しい時期に、春の兆しを求めて山野へ早咲きの梅を探しに行くこと。満開の梅を楽しむ「観梅(かんばい)」とは異なり、一輪、二輪の梅を探す趣がある。

掲句は「探梅」の最中に、身の内に飢えを感じたとの句意。「飢ゑ」は、空腹を感じることのほか、切望するものが満たされない精神的な飢えをも意味する。作者が感じているかすかな「飢ゑ」は、日中山野を歩き回ることによる空腹とも取れるが、作者の内面にある表現者としての「飢ゑ」でもあるだろう。詩の表現への「渇き」と言ってもいいように思う。「探梅」の句としては異色の作品。『俳句』2026年4月号。


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