一群の鳥やや高き薄暑光 直人
「薄暑(はくしょ)」は、初夏の頃のやや汗ばむほどの暑さをいう。本格的な暑さが到来する前の、軽やかな心地よさがある。大正時代に定着した感覚的な季語。この時季の透明感のある光や鮮明な物の輪郭に焦点を当てる場合、「薄暑光(はくしょこう)」という。
掲句は、初夏の透き通るような日差しの中で、頭上を越えていく「一群の鳥」を仰いでの作品。鳥たちの飛んでいく高度が、常に見慣れている飛翔よりやや高いとの感受は、折りからの「薄暑光」の中でくっきりと浮かび上がる。それは、鳥たちの飛翔を常に見慣れているからこそ感受できたものだろう。土着者の目がさり気なく生きている作品。昭和47年作。『日の鳥』所収。