廣瀬直人の一句(28)

蝸牛桜は雲の湧く木なり 直人

「蝸牛(かたつむり)」は陸生の巻貝の一種で、2本の角を出し、木や草をゆっくりと這う。湿気を好み、梅雨の頃に葉陰などで見かけることが多い。

掲句は、梅雨の頃、鬱蒼と葉を茂らせた桜を詠む。「蝸牛」と大木の桜とは、両者相俟って梅雨どきの鬱勃たる季節の様相を現わす。「蝸牛」は、季節感を明確にして景を引き締める点景であり、加えて、故郷に定住土着する作者の分身でもあるだろう。昭和46年作。『帰路』所収。

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