廣瀬直人の一句(27)

草靡きつつ郭公の声揃ふ 直人

「郭公(かっこう)」は、初夏に南方から日本へ渡来し初秋の頃帰っていくホトトギス科の鳥。明るい林や高原で聞くカッコーという鳴き声は、古くから親しまれてきた。「閑古鳥」ともいう。

掲句は、明るい高原の草原を思い浮かべたくなる作品。草原の遠く近くに鬱勃と鳴き続ける郭公。テンポの不揃いなそれらの声が、ときに揃うことがあるという。健やかな作者の耳が、草原の彼方の郭公の声に向けられているのだ。「草靡きつつ」の上五が、高原を吹きわたる心地よい微風を感じさせる。昭和43年作。『帰路』所収。

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