「黄塵(こうじん)」は中国大陸の砂漠から偏西風に乗って日本へ飛来する黄砂や、春風に舞い上がる土煙のこと。空や遠くの景色が黄色く霞んで見え、地上が黄色に染まることもある。「霾(つちふる)」の傍題。
掲句は黄砂が飛来した街中を詠んだ作品。「巷塵(こうじん)」は俗世間のちり、浮世のよごれのこと。強風が吹いて、常日頃の「巷塵」に海を越えて渡って来た「黄塵」が加わったというのだ。コウジンという同音異字のリフレインが効果的だ。強風の中、街中を歩く人々の嘆きが聞こえてきそうな一句。 『俳壇』2026年4月号。