鳥雲に入る駒ケ嶽仁王立ち 直人
「鳥雲に入る」は冬を日本で過ごした雁や鴨などの渡り鳥が、春になって北へ帰る際、空高く舞い上がり雲の中へ消えていくこと。「鳥雲に」と略した形で詠むことも多い。
掲句は、渡り鳥が北へ帰って行く頃、郷里の甲斐駒ヶ岳を仰いでの作品。「仁王立ち」は両足を大きく踏ん張って力強く、また威厳をもって立つ様で、独立峰の趣のある甲斐駒は、この形容が最も相応しい山である。この山を前にして「仁王立ち」の語に想い到った作者は、まさに天恵に浴する気分だったろう。作者愛着の郷里の山であってみれば、なおさらのこと。昭和58年作。『朝の川』所収。