「猫の子」は春に生まれた猫の仔のこと。猫の発情期(猫の恋)はおおむね2〜3月であり、子猫が生まれるのはその約60日後のおおむね晩春の頃になる。
掲句は、人が掴みあげた猫の子を、手移しに掌(たなごころ)に受ける場面を詠む。生まれて間もない猫の子は、見知らぬ人の手に触れられる緊張から震えているのだ。猫の子のいのちの温もりや震えを、作者の掌はしっかり受け止める。掌は手のひらのことで、「たなごころ」と仮名書きしたことにより、猫の子のいのちを丸ごと受け止める作者の思いが伝わってくる。『俳句』2026年3月号。