殉教のルイス七歳雪降り降る 岩岡中正

「雪」は春の花、秋の月と並んで冬の美を代表する季語。降る雪そのもの、雪景色、雪が積もる様など、雪を詠む場合の表現の幅は広い。純白で静寂を感じさせる雪は、寒さとともに自然美や儚さを感じさせる。

掲句は殉教地を訪れての作品。殉教地と言えば、江戸時代のキリスト教弾圧下で多くの信徒が処刑された長崎(西坂公園)や京都(六条河原)が思い浮かぶが、全国には他にも何カ所かあるようだ。墓碑に刻まれた殉教者の中に、「ルイス七歳」という幼い子の名を見つけた作者の心の衝撃や揺らぎが、「雪降り降る」とのリフレインを含んだ字余りの措辞に表れている。作者の心の揺らぎを飾らずに表出したこの措辞が、作品の余情・余韻を深めている。作品の決め手は作者の心であることを改めて認識させられる。『俳句』2026年3月号。


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