「春の雪」は立春(2月4日頃)を過ぎて降る雪のこと。冬の寒気の中を降る雪とは異なり、溶けやすく儚い印象があり、牡丹雪、淡雪などともいう。桜の時期に降る雪は桜隠しとも呼ばれる。
掲句は、雪国に降る「春の雪」を詠んだ作品。春になって降った雪が、雪面を若返らせたという。薄汚れた雪面に新雪が覆って、雪景色が様相を一変したのだ。降ってもすぐ解けてしまうといった「春の雪」の既存のイメージによるのではなく、豪雪地帯に降る雪を曇りのない目で見て詠んでいる。雪国の風土が紛れもなく表れている。『俳句』2026年3月号。