すれ違ってゆく春風をふり返る 花谷清

「春風」は春に吹く暖かく穏やかな風のこと。草木の芽を育み、鳥などの生き物の活動を活発にする。

掲句は「春風」とすれ違った作者が、ふり返ってその行方を眺めていると詠む。風は目に定かに見えるものではないが、確かに今すれ違ったのは「春風」の感触だった。五体に受けた風に春の感触を感じ取った作者は、その一瞬の感受を、自らの何気ない動作に即して表現したのだ。「寒風」や「北風」では、ふり返る余裕は生まれない。『俳句四季』2026年3月号。


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