廣瀬直人の一句(9)

青空の南に日ある斑雪かな 直人

「斑雪(はだれ)」は降り積もった雪が解けかかって、斑(まだら)模様に残っている状態をいう。春にまばらに降る雪を指すこともある。冬の雪とは異なり、降ってもしぶとく残ることはなく、間もなく消えてゆく。

掲句は春に雪が降った後の快晴の空を詠む。夜間にひとしきり雪が降ったものの、翌日の太陽の直射を受けて、雪は野や畑に斑に解け残っているのみ。空は雪に洗われて抜けるように青く潤い、その南寄りを日が渡っていく。必ずしも甲斐の地形や風土を念頭にする必要はないだろう。天地の運行と季節の歩みを単純に、ダイナミックに詠んだ一句だ。平成18年作。『風の空』所収。

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