旧正の雨一木に一草に 藤本美和子

「旧正」「旧正月」は陰暦1月1日のことで、今年(2026年)は2月17日がこの日に当たる。「春節(しゅんせつ)」とも呼ばれ、中国などでは、冬の終わりと春の始まりを告げる節目に位置づけられる。日本でも、この日を真の春の訪れとして重要視する地域もある。 

掲句は「旧正」の雨が草木を濡らしている情景を詠む。この時期の雨は、冬季に乾燥する太平洋側の地域では、草木の芽吹きを促す恵みの雨でもある。「一木に一草に」との措辞に、周りの草木に対する作者の懇ろな眼差しを感じる。単純な表現が句の味わいを深めている。『俳壇』2026年3月号。


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