廣瀬直人の一句(5)

月光は川原伝ひに雛の家 直人

「雛」(ひな)は雛人形のことであり、また、「雛の家」は雛人形が飾られている家のこと。女児の健やかな成長を願う明るく華やいだ気分が感じられる。

掲句の契機は自宅近くを流れる日川(にっかわ)の川原と思われるが、特定の川や場所を想定して読む必要のない作品である。川に沿う月夜の家路を辿る作者が思い浮かべている「雛の家」の明るさと華やぎが、読者にも感じられれば足りる。「雛の家」は作者の家路の先に、帰るべきところとして明るく灯っているのだ。帰るべき家を持つ作者の幸福感や安寧の思いも感じられる。昭和51年作。『日の鳥」所収。

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