藍を着て藍匂はせる除夜詣 直人
「除夜詣」は大晦日の夜から元旦にかけて、一年の感謝と新年の無事を祈り、翌年の恵方に当たる神社仏閣に参詣すること。現代では、年が明けてから参拝する「初詣」が一般的になっている。
掲句は住まい近くの産土(うぶすな)の神社に「除夜詣」に出掛ける作者自身を詠んだもの。藍染の作務衣は作者の日常着でもあるが、この夜ばかりは新調の作務衣を着て出かけたのだ。天然藍を発酵させる際に出る藍染特有の匂いは、着古すにつれて薄れてゆくが、新調の藍染には生(き)のままの匂いがある。その匂いに、新年を迎える改まった思いが重ねられている。平成22年作。『風の空』以降の作品。