落椿くちびるほどの湿りあり

「落椿」は椿の花が丸ごと地面に落ちている様を表す。椿は花びらが散るのではなく、花ごとぽとりと落ちるのが特徴。落ちた後も、しばらく地面に鮮やかな色を保つ。

掲句は拾い上げた「落椿」の感触を詠んだ作品。椿は落ちると、日を経るにつれて水気が失われ、土色に変色し、ついには土に還ってしまうのだが、私が手に持ったとき、咲いていたときのままの色合いと潤いを保っていた。特に花びらの少し肉厚で滑らかな感触を表したいと思い、こんな句になった。平成18年作。『春霙』所収。

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