夕星の一つ大きく猟期果つ 石田郷子

「猟期果つ」は冬の狩猟が解禁される期間(一般的に11月中旬〜翌2月中旬)が終わり、山に静けさが戻ること。冬の間聞こえていた銃声が絶え、山里に春の気配が訪れる。猟の当事者からすれば、名残惜しい気持ちもあるだろう。

掲句は、狩猟の期間が過ぎて静かになった山里の夕暮れを詠む。「夕星(ゆうづつ)」は夕方の西の空に輝く金星(宵の明星)のこと。陽が沈む頃、真っ先に光を放ち始めるのがこの星だ。細かな描写を一切省略して、「夕星の一つ大きく」と大掴みに平明に表現したところがいい。その声調の伸びやかさは、猟期が終わって春の気配が訪れた山里の静かな雰囲気を感じさせる。山間に住む人の生活実感が背景にあるのだろう。『俳句』2026年2月号。


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