雪婆言葉つまりしとき見たり 中西夕紀

「雪婆(ゆきばんば)」は、アブラムシ科の虫である綿虫の別称。晩秋から初冬にかけて見られ、白い綿のようなものをまとってふわふわと飛ぶ。初雪の頃出現することから、雪虫とよぶ地方もある。

掲句は、戸外で人と言葉を交わしている最中に見かけた「雪婆」を詠む。会話の途中ふと言葉が詰まったとき、虚空を舞う「雪婆」の姿が作者の目に映ったのだ。この句はただそれだけのことを詠んでいるに過ぎないが、人の中にいて感じている作者の孤心が「雪婆」を通して見えてくるところがいい。『俳句』2026年2月号。


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