着膨れてときどき国を憂へたる 仁平勝

「着膨れ(きぶくれ)」は、寒さを防ぐため衣服を何枚も重ねて着て、体が膨れて見える状態。身体の動きが鈍くなりやすく、心の働きにも同様の影響をもたらす。端から見ればどことなくユーモラス。

掲句は、「着膨れ」の状態にある作者自身、或いは他の人を辛辣な目で詠んだ作品。外見などは気にせずに「着膨れ」ていても、人並みに国を憂える思いは残っている。それも「ときどき」だというのだ。その人の大方の関心や話題は身辺の雑事・俗事に終始している。「ときどき」という措辞に、自他を含めた人間界に対する辛口の批評眼が覗く。『俳句』2026年2月号。

  


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