「霧」は地面に近い空気が冷やされ、大気中の水蒸気が凝結して細かい水滴になったもの。大気中に水蒸気が補給され、大気が飽和状態になって発生する場合もある。単に「霧」といえば秋の季語。
掲句は出土した副葬の馬の「碧眼(へきがん)」が霧を濃くしたと詠む。副葬の馬といえば、秦始皇帝兵馬俑(へいばよう)のように、死者を埋葬する際に副葬された馬の形をした像が思われる。出土したときには彩色が失われているケースが多いと聞くが、掲句の馬は鮮やかな「碧眼」をしていたという。この「碧眼」には、日本とは全く風土を異にする地域の異文化の香りがあり、眼前の霧と対置することにより、茫漠とした大地の広がりと時の流れを感じさせる作品になっている。平成28年作。『百人』所収。