昭和の号外くろぐろと冴返る

「冴返る(さえかえる)」は春先に暖かくなった後に寒さがぶり返すこと。一度暖かさを感じた後、心身にしみるように感じる寒さ。万象が引き締まる感じがある。

掲句は、国会議事堂近くの憲政記念館を訪れて、昭和7年の五・一五事件を報じた新聞の号外に触発されての作品。見出しの大きな活字や写真が黒々と目に焼き付いた。急速に戦争に傾いて行った昭和初期の社会の暗さを思った。当時のそのような世情が、今の世と無縁のものであればいいと願っている。平成9年作。『河岸段丘』所収。

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