屠蘇を干すまつすぐな樹になりたくて 権瓶玲子

「屠蘇(とそ)」は正月に無病息災や長寿を願って飲む薬酒。山椒、肉桂、桔梗などの薬草を日本酒やみりんに浸して作られる。平安時代に中国から伝わり、江戸時代に庶民に広がったという。年少者から順に飲むのが習わし。

掲句は、正月に屠蘇を飲む若者の面影が彷彿する作品。作者自身のことであってもいいだろう。「まつすぐな樹」になって天寿を全うしたいとの願いは、新たな年を迎えての抱負として相応しい。やや抽象的なところも、この句の味わい。『俳句界』2026年1月号。


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