「神の旅」は旧暦10月に、全国の神々が出雲大社へ集まるために旅立つこと。男女の縁を結び給うために集まるとされる。出雲以外の国々では神が不在になるため、この月は「神無月」と呼ばれ、神々が集まる出雲では「神在月(かみありづき)」と呼ばれる。
掲句は、「あるき神」の旅の様子を思い浮かべての作品。歩き神は人々をそぞろ歩きや旅へと誘い出す神様のこと。「そぞろ神」などとも呼ばれる。普通の神々は龍蛇に乗って旅するとも言われているが、「あるき神」はその名のとおり、歩いて出雲に参集するのだろうと作者は想像した。空想に空想を重ねたような作品だが、「あるき神」という言葉のもつ諧謔味が活かされている。『俳句四季』2026年1月号。