「雪」は雪月花の雪であり、春の花、秋の月と並んで冬の美を代表する。昔から雪は賞美の対象であり、豊年の吉祥でもあった。一方、日本海沿岸の豪雪地帯では白魔と恐れられる。
掲句は、肩などに降りかかった雪を払う手つきに想を得た作品。その手の形が、祈りのかたちに見えたという。祈りは、神や神格化されたものに対し、世界の安寧や他者への想い、あるいは何かの実現を願う行為。天地の運行を司る大きな力に対する祈るような想いが、この句の背景には感じられる。『俳句』2025年12月号。
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