「渡り鳥」は季節によって生息地を変える鳥を総称するが、俳句の季語としては、秋に北方から日本へ渡ってくる冬鳥を指す。鴨や雁などの大型の水鳥から、鶫、鶸、鶲など秋に渡ってくる鳥の種類は多い。
掲句は、朝の静けさの中で、鳥が渡ってくる頃の空を仰いでの作品。「きりぎし」は漢字表記では「切岸」で、切り立った険しい岸、断崖、絶壁のこと。中天に長く延びる雲が、鳥たちが羽を休める切岸のように見えたという。「きりぎし」との仮名書きも、雲の柔らかさを想像させる適切な配意だ。『俳句』2025年12月号。
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