敬老の日は9月の第3月曜日で、国民の祝日の一つ。長年働いて社会や家族を支えてく れたお年寄りに感謝し、その労をねぎらう日。
掲句は、厨房に立つ作者自身を詠んだ作品。もやしの髭(ひげ根)は食べられるが、食感や見た目を良くしたい時などは取り除く。敬老の日、作者はいつもと変わらずに厨房でもやしの髭を取っているのだ。只事すれすれの句だが、「もやしの髭」に軽いユーモアと自嘲が滲む。「敬老の日」を正面から詠んでも佳句になり難いが、掲句はそのハードルを越えた感じだ。日々のささやかなヒトやモノとの出会いの中に俳句の素材が潜んでいることを教えてくれる一句。『俳句界』2025年12月号。