「いぼむしり」は蟷螂(かまきり)の別名。 蟷螂にイボを噛ませたり、蟷螂でイボを撫でるとイボが治るとの俗説に由来する。
掲句は、「いぼむしり」が天空をめぐる月を獲って食ってしまうという。「いぼむしり」の前肢は鎌状をしていて、日頃はその前肢で他の虫を捕えて食らうのだが、その夜は、あろうことか、月に前肢を伸ばして捕えて食らってしまったというのだ。「いぼむしり」という俗信に由来する奇妙な名が、その愉しい想像を生かしている。『俳句』2025年11月号。
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