「夜長」は秋の夜の長いことをいう。秋分が過ぎると、昼よりも夜が長くなり、夜の長さを実感するようになる。暑かった日々の記憶も遠ざかり、長い夜を読書などで過ごすのもこの頃。
掲句は、秋の夜道をひとり辿るところを詠んだ作品。前を行く夫婦か恋人らしい見知らぬ二人の人影。少し離れて同じ道を辿っていく作者。前を行く二人も作者自身も秋の夜長のただ中にいる。ただそれだけの内容だが、夜長の情感が句のすみずみにゆきわたっている。『俳句』2025年11月号。
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