「威銃(おどしづつ)」は猪、鹿などの獣や雀を追い払うためにたてる大きな音をいう。実際に銃を撃つわけではなく、カーバイドやプロパンガスを爆発させたりして銃に似た音を立てる。田畑が広がる農山村に一定間隔で爆発音が響き渡る。
掲句は、農山村に響き渡る「威銃」を詠んだ作品。「威銃」の谺は四囲の山々にぶつかって折り返してくるという。その「たあん」という擬音語が、実りの秋を迎えた村の満ち足りた静けさを感じさせて効果的だ。秋晴れの空は底抜けのように青く、村内に人影は見えない。『俳句四季』2025年11月。
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