「釣船草(つりふねそう)」は、全国の山麓の渓流などの8、9月に、紅紫色の花を咲かせる。帆掛け船を吊り下げたような花の形から、この名がある。花が黄色のキツリフネは近縁種。
掲句は「黄つりふね」が咲いている辺(あたり)を水が流れていく様を詠む。「滝口」は滝の落ち口のこと。近くに滝があり、轟轟ととどろいているのだが、水は何事もないかのように静かに「滝口」に近づいてゆく。滝となって落ちる前の束の間の静寂が辺りを支配している。淡々と表現しているが味わいのある一句。『俳壇』2025年11月号。
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