「天の川」は初秋の澄み渡った夜空に帯状に白く濁って横たわる無数の星のこと。川のように見えるので、「銀河」「銀漢」ともいう。晩夏から初秋にかけて最も明るく美しい。七夕伝説の織姫と彦星を隔てる川で、二つの星は年に一度、旧暦7月7日の夜にこの川を渡って逢うことをゆるされる。
掲句は、「天の川」を仰ぎつつ、昭和という時代が既に遥かに隔たってしまったことを詠む。中村草田男が昭和六年、〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉と詠み、明治が既に遠い一時代となってしまったことを詠嘆した。これに対して、掲句は令和7年の今の世にあって、「昭和遠し」と詠嘆する。「縦に流るる」との措辞も、真南から天頂へ起ち上る晩夏から秋にかけての「天の川」の描写として的確。『俳句』2025年10月号。