雲が起つ鉾の大路のその果てに 名村早智子

「鉾祭(ほこまつり)」は祇園祭のことで、日本の三大祭の一つ。山鉾30数基が洛中を巡行する。「山鉾」「鉾立」「鉾町」「鉾の稚児」など関連季語は多い。

掲句は祇園祭を詠んだ作品。といっても、祭の細部は省略して、山鉾が巡行する都大路の果てに起ち上る雲に焦点を当てた。カメラでいえば、望遠レンズで大景を一枚に収めたような一句。鬱勃と湧き上がる雲に、祭の頃の季節感が感じられる。「鉾」だけでは厳密にいえば季語にならないが、読者に十分に句意が通じる作品である。『俳句』2025年9月号。


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