水足りて日照りも足りて鎌祝 土江祥元

「鎌祝(かまいわい)」は稲刈が無事に終った直後に行われる行事。稲刈りの主役をつとめた鎌に赤飯や餅を供え、 その年の収穫を祝う。作業に欠かせない鎌や鍬などの道具に対する感謝の思いがこめられている。

掲句は稲が生育する間、雨が十分に降り、日照りにも恵まれて、無事「鎌祝」の日を迎えることができた喜びが率直に表出されている作品。今年の雨の降らない極暑の日々とその後の豪雨は、稲作地帯に住んでいない我々をも心配させる激しさ・厳しさだった。無事に稲刈りが済んだ安堵感はいかばかりのものかと思う。『俳壇』2025年9月号。


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