人間をとほくに捨てて午睡かな 長嶺千晶

「昼寝」「午睡」は夏の昼間に短時間眠ること。酷暑の折は夜も熟睡できず睡眠不足になりがちだ。寝不足や食欲不振などによる体力の消耗を回復するために昼寝をする。

掲句は、人間を遠くに捨てて「午睡」をしたと詠む。ほんの一時の眠りから覚めたとき、眠っている間は人間であることから自由になっていたとの感覚があったのだ。目が覚めてしまえば元の己から逃れる術はないのだけれど・・・。何物からも束縛されない眠りというものの本質が鋭く捉えられている。『俳壇』2025年9月号。


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