「秋澄む」は秋の澄んだ大気をいう。移動性高気圧が大陸上空の乾燥した冷たい空気を送り込むため、空気が遠くまで澄みわたる。目に映るものだけでなく、耳に入るものの音も澄んで聞こえる。
掲句は目に映じるもの、耳に入るものの音なべて澄んでくる秋のただ中にあって、ゆるやかに過す自らの「晩節」の日々を振り返っている作品。「晩節」は「晩年」と同様の意味だが、「晩節」という言葉には、自ら信じる生き方を貫いてきた矜持が感じられ、そのことがこの句を引き締めている。『俳壇』2025年8月号。
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