蒲公英(たんぽぽ)は花の後綿状の種子になり、風に乗って四方に散らばる。「蒲公英の絮(わた)」(春季)は蒲公英の傍題。
掲句は「旅程」を離れてゆく蒲公英の綿毛を詠む。「旅程」は作者の辿りつつある旅の道のりとでも解しておきたい。目をとめた蒲公英の綿毛が、作者の旅路から逸れて彼方へと飛び去ってゆくのだ。作者の前方に旅路が延びているように、蒲公英の綿毛も果てしない旅の途中にある。それを見送る作者の胸中の淡い旅愁も感じ取れる作品。『俳句四季』2025年6月号。
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