炎天を捲らば大笑面あらむ 奥坂まや

「炎天」は夏の太陽が座を占めて、焼け付くような空のこと。赫灼と照る太陽に輝いた空は燃えるばかり。

掲句は、炎天を捲(めく)ると、「大笑面(だいしょうめん)」が現れるだろうとの句意。「大笑面」は「暴悪大笑面」のことで、十一面観世音菩薩像が頭部戴く11面のうち、背後向けて破顔している面を指す。悪や悪行対す怒り通り越した笑い表現しているとされる。「大笑面」も、折りからの厳しい暑さを笑い飛ばそうとしているかのようだ。『俳句』2025年8月号。


コメントを残す